●法定労働時間の範囲内で、自社の所定労働時間を決める。
●就業規則に記載されていない労働者については、個別の雇用契約書でその労働時間を定めなければならない。
法定労働時間とは、労働基準法第32条で定められた労働の上限時間のことです。原則として休憩時間を除き、1週間について40時間以内、一日について8時間以内と決められています。特例として、上限が44時間となる業種(特例措置対象事業)がありますが、これらの業種でも1日の上限は8時間以内です。一方、所定労働時間とは、法定労働時間を超えない範囲で、会社が就業規則や個別の労働契約で定めた労働時間のことです。所定労働時間は、会社によって異なっていてもかまいません。
労働時間を決める際には、始業と終業の時刻を必ず定めなければなりません。職種やシフトによって時刻が異なる場合には、それぞれについて明記します。なお、始業時刻とは労働が提供できる開始時刻であり、出社時刻とは違います。始業時刻に仕事が始められることについても明記しておきましょう。
法定労働時間
・1週間につき40時間以内
・1日につき8時間以内
所定労働時間
・法定労働時間内で決められる
<例外>
特例措置対象事業(労働者が10人未満の事業場)
商業:卸売業、小売業、理美容業、倉庫業、駐車場業、不動産管理業、出版業(印刷部門を除く)、その他の商業
映画・演劇業:映画の映写、演劇、その他興業の事業(映画製作、ビデオ制作の事業を除く)
保健衛生業:病院、診療所、保育園、老人ホーム等の社会福祉施設、浴場業(個室付き浴場業を除く)、その他の保健衛生事業
接客娯楽業:旅館、飲食店、ゴルフ場、公園・遊園地、その他の接客娯楽
労働時間とは、使用者の指揮監督のもとで労働者が労務を提供している実労働時間のことです。お客様が来るのを待っている時間や、ある作業と作業の間に実際に労働していない手待時間が発生した場合であっても、この時間は労働時間に含まれます。労働時間に含まれない休憩時間とは、使用者からの解放を保障されている時間で、労働者が自由に過ごすことができる時間です。労働時間か休憩時間かは、使用者からの指示があれば、すぐに労働しなければならないかどうかによります。
●法定労働時間を超えて働く場合はルールを決めて、労働者代表と労使協定(36協定)を結ぶ。
●36協定は労働基準監督署へに届け出なければならない。
法定労働時間は原則1日8時間以内、1週40時間以内ですが、手続きをすれば原則の時間を超えて働くことができます。そのためには、時間外労働・休日労働に関する労使協定いわゆる36(サブロク)協定が必要です。
労使協定とは、重要な労働条件について会社と労働者代表が書面で取り交わす約束のことです。時間外・休日労働は労働者の心身に大きな負担がかかるので労使協定でルールを定め、労働者の合意を得なければなりません。合意を得たら36協定を会社の地域を管轄する労働基準監督署に届け出ます。届け出たその日から時間外・休日労働が可能となるので、注意が必要です。各労働者にも内容を周知し、労働時間の意識を持ってもらいましょう。
36協定では、以下の内容について過半数の労働者代表の同意を得て協定を結びます。代表者は、労働者間の投票による選挙、挙手などで選びます。
①時間外および休日労働をさせる具体的な理由
②時間外および休日労働をさせる労働者の業務の種類と人数
③1日の時間外労働時間の上限
④1か月および1年間についての時間外労働時間の上限
(1か月についての時間外労働時間の上限について、中小企業は2020年4月1日以降施行)
⑤休日労働を行う日数とその始業、終業時刻
⑥協定の有効期間(原則1年間)と協定期間の起算日
会社が労働者の合意を得て36協定を労働基準監督署へ届出 すると
●1日8時間、1週40時間の法定労働時間を超えて働かせることができる
●1週1日の法定休日に働かせることができる
<例外>
●36協定で決めたとしても、以下の場合は時間外労働、休日労働、深夜労働(午後10時から午前5時まで)をさせることができません。
・妊娠中または産後1年を経過しない女性労働者で、本人が請求した場合
・満18歳未満の労働者
●非常災害時など避けることのできない特別な事情があるときは、36協定の制限を超えて働かせることが認められています。
●健康上有害な一部の業務は、1日の時間外労働は2時間までに制限されています。